同じ成分、同じ36錠。それでも12%高い理由 ──トラフル錠とペラックT錠に学ぶ「価格=価値」の正体

同じ成分、同じ分量、同じメーカー、同じ36錠。
それでも価格が違う商品がある。

第一三共ヘルスケアが販売する
トラフル錠ペラックT錠だ。

トラフル錠
ペラックT錠

この2つの製品は、
主要成分・分量ともに同一である。

それにもかかわらず、メーカー希望小売価格はこうなっている。

・トラフル錠:2,365円/36錠
・ペラックT錠:2,640円/36錠

約12%、ペラックT錠のほうが高い。

成分が同じなら、価格も同じになるべきではないのか。
この素朴な疑問は、マーケティングの本質に直結している。


目次

まずは事実確認:1錠あたり価格で見ると差は明確

感覚論ではなく、数字で整理しよう。

・トラフル錠:2,365 ÷ 36 = 約65.7円/錠
・ペラックT錠:2,640 ÷ 36 = 約73.3円/錠

1錠あたり約7.6円
割合にして約11〜12%の差がある。

これは誤差でも偶然でもない。
同一メーカーが、成分も分量も揃えたうえで設計した価格差だ。


価格は価値の対価である

価格は成分ではなく、価値の対価である

この事例が示しているのは、極めてシンプルな原則だ。

価格は、価値に対する対価である。

そして価値とは、
顧客にとってのポジティブな変化を指す。

ビジネスとは、
顧客の「不」を解消し、
望ましい変化を起こし、
その対価を受け取る営みだ。

成分が同じでも、
解消している「不」が違えば、
価格が違って成立する。


成分は同じでも、解いている「不」は違う

ここが最重要ポイントだ。

トラフル錠が前提としている不

口内炎の痛み

・口内炎が痛い
・食事や会話がしみる
・日常の快適さが下がっている

これは、日常生活レベルの不快である。

つらいが、我慢できないほどではない。
自然治癒という代替手段もある。


ペラックT錠が前提としている不

喉の痛み

・喉が痛くて声が出しづらい
・会話や接客、電話に支障が出る
・仕事や役割が止まる不安がある

こちらは、社会的・機能的な不だ。

「今日を乗り切れるか」が問われる。
我慢という選択肢は、現実的ではない。


ジョブ理論で整理すると、違いはさらに明確になる

ジョブ理論では、人の購買行動をこう捉える。

人は商品を欲しいから買うのではない。
ある状況で、ある進歩を得るために商品を雇う

ジョブ理論

この視点で見ると、
トラフル錠とペラックT錠は、成分が同じでも「別の商品」になる。

トラフル錠のジョブ

「口内炎という不快を抑え、
日常を“まあ普通に”過ごしたい」

・緊急度:中
・代替手段:我慢、自然治癒


ペラックT錠のジョブ

「喉の不調によって、
仕事やコミュニケーションが止まる事態を回避したい」

・緊急度:高
・代替手段:ほぼない

雇われているジョブが違えば、 同じ成分でも価値は変わる。


7円の差の正体

それは「不の深さ」の差である

トラフル錠は1錠約66円。
ペラックT錠は1錠約73円。

この7円の差は、
成分でも、分量でも、効能の違いでもない。

顧客が回避したい「不の深刻さ」の差だ。

ペラックT錠が売っているのは、
「炎症を抑える成分」ではなく、
「喉が原因で今日が詰むリスクを下げる安心感」である。

このジョブを考えれば、
12%高い価格はむしろ自然だ。


マーケティングへの示唆

この事例は、業界を問わず応用できる。

・価格競争は、価値を定義できていない状態
・顧客はスペックではなく「状況」で選んでいる
・同じプロダクトでも、ジョブが違えば別商品になる
・価格はコストではなく「不の深さ」から設計する


終わりに

あなたのビジネスは、どの「不」を解いているか

あなたのプロダクトは、
顧客のどんな「不」を解消しているだろうか。

その不は、
本当に切実なものだろうか。

そして、
その解消に対して、
正しい価格をつけられているだろうか。

成分が同じでも、価格は同じでなくていい。
価値が違えば、価格は変わって当然なのだ。

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