事業戦略の深化に向けた次なる成長ドライバーとして、現場起点の新規事業創出を推進。
上場建設会社における選抜社員を対象に、構造的な思考力と提案力を備えた人材の育成を支援。
事業開発未経験の若手でも経営層への事業提案が可能となるよう、実践と知の循環を通じた成長を伴走しました。
プロジェクト概要
経営方針として掲げる「価値提供の多様化・高度化」を実行に移すべく、社内における事業開発人材の計画的な育成が求められていました。
選抜メンバーはいずれも事業開発未経験でありながら、実際に新サービスを構想・検証・提案する役割を担うことが想定されており、従来の座学的研修”だけ”ではなく、実践を通じた知の定着と成果の可視化が両立された支援が必要とされていました。
本プロジェクトでは、事業開発の基本的な思考・手法を習得する座学と、仮説立案・アイデア創出・関係者とのディスカッションを通じた実践とを往復する設計とし、1年後の社長提案を一つのマイルストーンに据えながら支援を行いました。
背景・目的
現場起点での新たな価値創出を目指す上で、既存の延長線にない発想や論点を持ち、経営と対話できる人材の社内輩出が重要な経営課題となっていました。
事業開発未経験の中堅社員を対象にしながらも、単なる知識習得ではなく、実際の事業検討・提案活動を通じて、行動を伴う学びと成長が必要であり、育成と成果の両立がテーマとして浮上していました。
主な目的は以下のとおりです:
- 未経験者でも「事業開発の思考・プロセス」を体得できる育成機会を提供すること
仮説構築・検証・提案までの一連の流れを実践を通じて学べる場を整備。 - 経営層に対して、構造化された事業提案ができる人材を社内から輩出すること
思いつきレベルではなく、経営にとって意義のある提案レベルに引き上げる。 - 社内に「現場起点で新規事業を生み出す文化・仕組み」を根づかせること
選抜メンバーの育成を通じて、組織的な事業創出力の底上げを図る。
アプローチと進め方
本プログラムの進行は、「年間を通じた事業開発のステップ」と、「月次で反復される学習サイクル」の2層構造で設計しました。
全体の進め方設計

この構造の狙いと特長
• 年間構造は「事業開発のストーリーライン」に沿って設計
→ 顧客課題から仮説検証までを一貫して体験することで、「構造的に考える力」を育む
• 月次構造は「理解→実践→深化」の反復によって習熟を促す
→ 各ステップでの成長を支える仕組みを内在化
【年間構造】事業開発の全体プロセス(戦略的ステップ)
プログラム全体は、以下のような3つの主要ステップに分かれており、各フェーズで段階的に思考のレベルと解像度を高めていきます。
事業開発全体プロセスの体験 3ステップ
誰の・どんな課題を
どんな解決策で
どのように提供するか
顧客の解像度を上げ、
顧客課題を発見することから
事業開発ははじまる
解決できるかを考え、
解決策の導入への障害の有無
障害を取り除けるかを考える
持続可能なビジネスか検討し、
検証する
設計
仮説構築
仮説検証
顧客は誰で、どんな課題を抱えていて、どんな価値を提供するのか?
- 顧客課題の発見
- 顧客理解(ペルソナ設定/カスタマジャーニー)とターゲット設定
- 顧客インタビュー
- 顧客提供価値の検討(機能的価値/情緒的価値/体験価値/Value Proposition Canvas)
価値を提供するための解決策は何か?競合、代替品との違いは何か?
- 解決策の構想(プロダクト/サービス)
- ブルーオーシャン戦略(ストラテジーキャンパス/ERRCグリッド)
- ポジショニング、独自提供価値(UVP)の設計
- 顧客体験設計・導入障壁の有無・実行可能性の検討
- マーケティング戦略策定
(外部環境分析/3C/STP/マーケティング・ミックス/バリューチェーン分析/VRIO分析) - ビジネスモデルの仮説構築
- 事業計画策定(スケーラビリティ/継続可能性の検討)
- 提案書・プレゼンテーションの完成
この全体プロセスにより、事業開発の一連の流れを「自らの手で体験しながら」習得することを目指しました。
【月次構造】反復学習サイクル(深い理解と実践)
上記のステップを支える形で、毎月のプログラムは以下の3フェーズで構成しました。
月内の反復学習サイクル構造
何をする必要があるか
どうやってやればいいか
なぜそうするのか
- 事業開発のステップに応じたフレームワークを学ぶ
- 自社サービスを例にした具体解釈で理解
- 顧客・価値・手段の思考フローをインストール
- フレームを使ってアイデア・仮説を構造化
- グループ内・講師との壁打ちを通じて構想を磨く
- アウトプットを通じた「使える理解」の獲得
この月次のサイクルを通じて、知識を「学ぶ」だけでなく、実際に「使いこなす」力へと昇華させることを目指しました。
繰り返し実践し、フィードバックと対話を重ねる中で、思考の質を高めながら自らの言葉で語れる理解と行動へとつなげていく構造としています。
担当領域・支援内容
現場メンバーの理解・行動変容を通じた事業開発スキルの定着を目指し、企画設計から運営まで一貫して支援を実施。
知識習得と実践を往復する学習サイクルを構築し、最終的には「社長提案ができるレベル」までの到達を目指しました。
- 研修プログラム全体設計・月次構成の企画立案
年間を通じて段階的に学びが深まるよう、事業開発のステップに沿ったカリキュラムを設計
講義・ワーク・壁打ちMTGを一体化し、実践で“使える”理解の獲得を重視 - 講義・フレームワーク提供・プレゼン指導
既存サービスや過去事例を題材にしながら、理解・言語化・構想力の向上を図る講義を提供
プレゼンテーションの構成・資料作成支援も行い、社長提案に耐えうるアウトプットを磨き上げる - 月次での壁打ち・フィードバックの伴走
毎月各グループとMTGを実施し、実践ワークに対する問いかけとコーチングを通じて思考を深耕
完成度ではなく“気づきの質”に重点を置き、成長の手応えを実感できるプロセスを設計 - プログラム内での変化促進・定着支援
研修初期のつまずきに対しては補助資料やテンプレートの提供で支援
中盤以降は自走支援・他部署展開を見据え、現場への実装を強く意識した問いかけへとシフト
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